仮想物体の光の屈折によるコースティクスを表現する拡張現実システム

概要

 本研究では、仮想世界で作られたコースティクスを表現する拡張現実システムを実現しました。 コースティクスとは、特定の物質に光を当てると光の反射・屈折によって周囲の物体表面に独特の光の模様や筋をつくる集光現象であり、画像に視覚的美しさやリアリティをもたらします。 拡張現実システムでコースティクスを実装すればARのリアリティを高め、より現実世界に馴染む仮想世界を作り出すことが可能になります。


 現実世界のリアルタイムなユーザの動作に応じてコースティクスが連続的に変化し、実際にオブジェクトが光を屈折させているかのような感覚を与えます。 コースティクスの生成にはフォトンマップ法の原理を基に新しい手法を提案し取り入れました。従来のフォトンマップ法は数万個もの光の粒を追跡する必要があるので、リアルタイムの実装は不可能でした。 そこで、フォトンに輝度分布をもたせそれを重ね合わせた結果をコースティクスとして表示することで、フォトンの数の削減を可能にし、処理速度を向上させリアルタイムでのコースティクス生成を可能にしました。


図:システム概要

動作ムービー