アニメにおける人物顔画像の萌え因子特徴評価と検索分類システムへの応用

概要

 近年の日本のアニメ作品は、世界に誇れる代表的なデジタルコンテンツとして確立し、 同人誌活動といった二次創作活動も活発化してきております。

 また、食料品や地域活性化など、様々な場面で萌えビジネスが展開されており、その中で、人物キャラクターの魅力=萌えといった概念が広く普及しつつあります。そのような萌えコンテンツにおけるニーズとしては、二次創作における補助・支援や多様な作品群からの検索等があげられ、萌えコンテンツを自身の萌え基準で検索、分類、管理したいといったものが存在していると考えられます。

 そこで本研究では、萌えキャラクターに特有の特徴を自動抽出し、キャラクターの萌え属性を付加することによる、萌えを指標としたコンテンツ評価手法の提案と、その応用システムの開発を行うことを目的と致しました。

 評価手法の概要としてはまず、背景を簡略化したほぼ正面を向いた顔のアップ画像を入力とします。これに対し、色情報をもとにクラスタ分割し、さらに位置情報を考慮することにより、目、髪、肌などの意味あるレイヤーへと再構築します。 なお、このようなレイヤー分割を行う理由は、現在のアニメ制作においては、レイヤー構造によってシーンが作成されているので、各部位の特徴抽出を行い易くするためです。

次に、そのレイヤーをもとにした特徴抽出を行います。人物キャラクターにおいては実際の人物と比較して、特に目領域に特有の特徴が見られると考えられるため、重点的に抽出処理を致します。そして得られた特徴量をもとに、萌え因子というものの評価を行います。

萌え因子は二種類の因子で構成されており、各特徴量の度合いを閾値分割し、対応するキーワードを付加した基本萌え因子、基本萌え因子の組み合わせにより、より複雑かつ独自な萌え属性を表現する発展萌え因子から成っております。

 この萌え因子を、人物キャラクター画像の特徴として用います。

図:システム概要