パズルの一種であるジグソーパズルは古くから遊ばれている玩具です。一般にピースの数によって完成までの難易度は変わり、100ピース未満のものから1万ピースを越える大型のものまで、様々な大きさ・ピース数のジグソーパズルが存在しており、大人から子供まで老若男女が楽しめるようになっています。
特にジグソーパズルが持つ注目すべき点は、その知的・教育性です。幼児がジグソーパズルの組み立てを通して、図形の認識、記憶、色の判別などをすることで、目で見た情報を取り込み、全体を意識しながら部分を関連付け、意味のあるものにまとめあげる能力を鍛えられることが期待できます。
しかし、幼児などのジグソーパズル初心者が独力で完成を目指すことは稀で、一般に大人などのジグソーパズル経験者の力を借りながら遊ぶことが多く、ピース数が多くなり難易度が高くなるとそれは顕著です。その際、単純にどのピースがどのピースと接続し、どのあたりに位置しているかを完全に教えるのではなく
というようなプロセスに則って、組んでいく解法を教えつつ、ヒントを与えることが教育的観点から大事だと言えます。
そこで本研究では「拡張現実」技術を用いることで、このような大人の代わりをコンピュータが務め、ジグソーパズル組み立てにおける支援情報を提示するシステムを開発しました。
本研究では幼児などのジグソーパズル組み立ての経験に乏しいジグソーパズル初心者を対象とし、ピースが設置されるべき位置情報や組み立てていく上での支援情報を現実の盤面上に提示することを目的としています。その際、
という二つの機能を、カメラを用いた画像マッチングと、プロジェクタを用いた拡張現実技術によって実現しています。
カメラで撮影したピースの画像は、カメラの解像度、撮影環境、など様々な要因で、あらかじめスキャナなどで取り込んでおいた見本画像とは大きく変化したものになり、単純な画像マッチングでは上手くいかず、各種補正をかける必要があったことです。